俺たちは夜に舞う蝶らしい
要と俺の問いにあっけらかんと答えた秋雨。
その言葉を聞いた要がガタンっ!と立ち上がる。
それを襟元を引っ掴んで引き止める秋雨は俺でも引くくらい百点満点の笑顔だった。
なんならプラス点あげたくなるくらい。
「ボスだけは勘弁してくれ!
頼む!!」
「そんなこと出来るか!」
『…‥‥‥‥‥‥諦めなよ、要。』
遠いところを見て要に声をかける。
俺も正直ボスには会いたくない。
怖い。辛い。ヤバイ。
この三点セットの人だ。
無理。
泣きたい。
「お前、現実逃避してるだろ!」
『いつでも現実しか見てないヨー』
「ふざけんな!
最後のカタカナが現実逃避の証拠だろ!!」
『ナンノコト?
ボクはボスダイスキダヨ。』
「ふざけてんじゃねぇ!!!
つか、秋雨はなんで冷静なんだよ!!」
「俺だって会いたくねぇよ!
けど、従わなきゃその方がヤバイだろ!」
そんな言い合いを続けているとふと俺たちの顔面スレスレを横切った銀色の物体。
それは音もなく壁にめり込む。
もはや、刺さったんじゃないよ?
めり込んでるんだからね?