俺たちは夜に舞う蝶らしい
「さっきも言ったが、俺には蘭音の考えは分からねぇ。
けどな、最後まで信じてやれ。
何があっても、何をしても。
あいつは変わらずお前の双子の弟だ。」
その言葉はまるで、すべてを悟ったような口調。
その言葉はまるで、蘭音が俺たちを裏切るかのような口調。
その言葉はまるで、大きな戦いに踏み出すことを決めたかのような口調。
『それは‥‥命令ですか?』
「いや。
俺の希望だよ。」
希望‥‥。
その意味は何なんだろう。
何かに対して実現することを願っての言葉なのか。
それとも、未来へと期待しての言葉なのか。
闇に浮かぶ一点の光のようなものなのか。
俺にはわからない。
『希望ですか。』
「そうだ。
これは命令じゃない。
ただ、俺はガキにはそこで笑っていて欲しいだけさ。
ガキがそこで笑ってて、望んだ道で生きていくならそれを守るのがトップの役目だ。」
組織名なんて確立されていない所に所属している俺たちだけど、俺たちはボスについていく。
怖いし、やばいし、理不尽なところもある人だけど、それと同じくらい優しくて、大きくて、理にかなった人だから。