俺たちは夜に舞う蝶らしい
翼side
『お前、その怪我どうしたんだ?』
「澪、何があったの?」
傷だらけの澪を見て声かける俺と、声をかけながらカウンターから出てくる凛音さん。
しかし、澪は俺たちの質問をスルーして切羽詰った声を出す。
「そんなことより、ここに蘭ちゃん来てませんか!?」
「蘭音?
来てないけど‥?」
澪らしくもなく焦った様子。
それも蘭音さんを見つけたような口ぶり。
「ねぇ、澪。
蘭音見つけたの‥‥?」
「‥‥見つけたというより会っていた。
という方が正しいですね。」
『「え?」』
俺たちの会話についていけてない汐。
澪の口振りはまるで、〝今までずっと蘭音さんの居場所を知っていた〟かのようだ。
「汐。お前は家に帰れ。
家に帰ったら父さんに〝ランクA〟って伝えて。」
「は?意味わかんねぇ。」
「分からなくていい。
父さんに言えばわかる。」