俺たちは夜に舞う蝶らしい
そう俺に返事をする凛音さんだけど、頭の整理がついていない様子。
そりゃそうだろ。
俺だって出来てない。
正直、ここまで蘭音さんの痕跡が見つからなかった状況では誰もが蘭音さんは亡くなっていると思っていた。
その蘭音さんが生きていたこと。
口振りからして、澪はそのことを知っていたこと。
しかも澪は蘭音さんと度々会っていたこと。
そして今。
蘭音さんや澪、夕さんたちが危険な橋を渡ろうとしているということ。
情報が多すぎて整理が追いつかない。
「ねぇ、翼。」
『はい?』
「とりあえずさ‥‥蘭音が生きてたって認識でいいんだよね‥‥?」
そう言う凛音さんの表情は俯いていて見えなかったけど、声は今まで聞いたことがないくらい震えていた。
そうだよな。
蘭音さんが消えた時も1番動揺してたし。
それに、たった2人の兄弟でその上双子なんだ。
『多分、そういうことかと。』
「‥‥そっか。」
そう呟くと、力が抜けたようにその場に座り込む凛音さん。