俺たちは夜に舞う蝶らしい
〝凛音さんと蘭音さんはよく似てますよ。〟
〝‥‥凛音さんを変わりにする気?〟
〝まさか。
似てるのと同じのとは違います。〟
〝ならどういう意味だよ。〟
〝自分を犠牲にしても大切な家族を守ろうとしてるところがそっくりです。
だから、雫石を作らないといけないんです。〟
クスクスと笑っていた澪。
その時は何のことかわからなかった。
けど、今ならわかる。
何かが動き出した今なら。
全ては蘭音さんがいなくなったそれよりもっと前から始まっていたんだ。
人一倍鋭い澪は蘭音さんのしようとしてることに気が付き、裏に入った時から協力していたんだろう。
凛音さんや俺に気付かれないようにするために雫石を作った‥‥。
「翼。」
『‥‥もう平気ですか?』
顔を上げた凛音さんの目は少し赤いけど、色々と吹っ切れた様子で、いつも通りふわりと笑う。
「うん。
とりあえず、蘭音が生きていたことを喜ぶことにすることにした。」
『そうですか。』
「帰ってきたら白状してもらわないとね。」
優しく笑う凛音さんはいつも通りだった。
『そうですね。』
とことん問い詰めてやる。
覚悟しろよな。