俺たちは夜に舞う蝶らしい
イヤホンから聞こえる声がノイズ混じりになり、小さくなったと思ったら無音になる。
それと同時に背中の1点に何かを押し付けられている感覚。
少し殺気を出し片手に小型の拳銃を忍ばせながら、両手をあげる。
『盗み聞き?
質悪いな、あんたら。』
「おやおや。
私たちのところに潜入していたあなたが言いますか。
黒羽様?」
『〝俺〟は手引きしただけだよ。』
カチャ‥‥っと背後で音がする。
「あんな大怪我をしたあなたが、まさか生き残っているとは思いませんでした。
だから。
私たちはあなたの警戒を怠ってしまいましたよ。」
『しぶといらしくてね、俺。
まあ、〝あんたの部下が下手だった〟ってのもあるんじゃない?』
「そうかもしれませんね。
では、その無能な部下の代わりに私が問いかけましょう。
〝我らKINGの仲間になりませんか?〟
そうすれば生かしてあげます。
あなたの実力なら、幹部クラスも夢じゃありませんよ?」
『とっても楽しそうな話だ。
けど残念。
これでもオーナーなもんでね。
下の奴らがいるんだ。
それにね‥‥?』
パァァァーーンッ!!
一瞬の隙をついて後ろのやつに向かって発泡する。
サイレンサーをつけてないからかなり響いたけど、屋根の上なんて誰も見ないし、そもそもこの辺りは倉庫外で誰もいない。
僕は倒れた男の側に落ちていた通信機を妨害する機械を踏み潰す。
『俺は俺が信頼した人にしかつかねぇよ。』