俺たちは夜に舞う蝶らしい
「秋雨に至っては俺に会いたくなかったみたいだね?
還ってくれていいんだよ?」
「滅相もない。
帰るなんてしませんよ」
還ってくれていいんだよ?って。
漢字変換違うだろ。
秋雨も顔真っ青だし。
もう、ほんとこの人やだ。
なんでこの人に付き従ってるんだろう。
いや。
それだけの実力はあるし、絶対的な何かを持ってるんだけど。
もうちょっと性格をなんとかして欲しい。
「そ‥‥それにしても。
わざわざボスがここに来るなんて珍しい事もあるもんですね。
俺たちに何か仕事ですか?」
要が話題を変えようと本題の話を持ち出す。
もう、要は勇者だよ。
普段は馬鹿でダメダメだけど、見直したよ。
この空気で本題の話を切り出せるなんて神だよ。
「あー。
2人、こっちに引き込んで欲しいんだ。」
「「「こっちに引き込む?」」」
それは滅多にない仕事。
裏の人間を拾って俺ら側にする事はあっても、表の人間をわざわざこちらに引き込むなんてあまりない。
それは表の人間は裏の人間とは合わないし、そもそも裏に耐えられる訳が無い。
秋雨は元々親が裏の人間で、ガキの頃から裏にいることが当たり前だったみたいだし、要は組の若頭候補だった。
今は確定なんだけど。
俺は俺で、父さんが要の組‥‥壱条組の副組長で母さんも元ではあるものの殺し屋。