俺たちは夜に舞う蝶らしい
どんなに大人びていたって澪は子どもだから……。
「翼の方は?」
「[あいつは蘭音を心配してるってのもあるが、一番心配してるのはは澪のことだろうな。]」
「落ち込んでるわけではないんですね?」
「[あぁ。]」
翼はひとまず大丈夫……か。
澪は俺たちがこっちに引き込んだあの日から人を信じることを拒んでいて、壁を作ってる。
幼いながらに敬語を使うのがいい証拠。
翼は両親が死んだと言われた時はパニックになったけど、今では落ち着いてる。
2人とも、もし何かあってもいいように壱条組で用意した部屋で生活してる。
夕さんたちには連絡しているが、弟の方は何も知らねぇんじゃねぇかな。
「[[組長ーーーー!!!!]]」
「[うるせぇ。どうした]」
携帯を遠ざけたのか少しだけ父さんの声が小さくなる。
「[[それが……澪くんが家にいないんです!]]」
「[は!?]」
「ちょ!?どういうことですか!?」
「[翼は!?]」
「[[翼くんはいましたが、澪くんの居場所は知らないと。
ただ、翼くんがあまりに落ち着いていたので聞くと、蘭音さんがいなくなる少し前くらいからよく夜中に出かけていたと……。]]」
蘭音がいなくなる少し前くらいから?
なんか企んでんのか?
そう思ったのは俺だけじゃないらしい。
「[とにかく探すぞ。
お前らもその辺探してくれ。]」
『「「御意」」』
俺らは傍らに置いていた愛刀を持ち、腰に差す。
馬鹿ガキをお迎えに行きますか。