俺たちは夜に舞う蝶らしい

幹部を消せばいいって思うだろ?

そうしたらあっという間に幹部候補が椅子に入ってしまう。

けど、王の跡継ぎがいないことはすでに調べがついている。

つまり、幹部やそのほかの奴らが話し合わなければならず、決まるまで時間がかかる。

すでに城への潜入は済ませている俺だから、あとは株さえ上げれば幹部に座れるってわけだ。

ただ王を消すためには俺は適しない。
そこで、遠距離射撃ができる澪が駆り出されたというわけだ。

澪は何回かこのあたりを見に来てこのポイントを見つけ出し、今日のためにいろいろと準備をしてくれた。

子どもなのにかなり無理をさせてしまってるから、申し訳ない。




『うん。』




俺のその返事とほぼ同時に引き金に添えていた澪の指に力が入る。

音もなく放たれた弾はまっすぐ目的に向かっていく。

仕掛けた盗聴器から聞こえる窓が割る音と、何事かと騒ぐ声。




「当たった。」




澪がそうつぶやいた瞬間、盗聴器からは王を心配する声が。

当たっているってことは、澪がしくじっているわけがないため、計画通りだ。



< 73 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop