俺たちは夜に舞う蝶らしい
幹部を消せばいいって思うだろ?
そうしたらあっという間に幹部候補が椅子に入ってしまう。
けど、王の跡継ぎがいないことはすでに調べがついている。
つまり、幹部やそのほかの奴らが話し合わなければならず、決まるまで時間がかかる。
すでに城への潜入は済ませている俺だから、あとは株さえ上げれば幹部に座れるってわけだ。
ただ王を消すためには俺は適しない。
そこで、遠距離射撃ができる澪が駆り出されたというわけだ。
澪は何回かこのあたりを見に来てこのポイントを見つけ出し、今日のためにいろいろと準備をしてくれた。
子どもなのにかなり無理をさせてしまってるから、申し訳ない。
『うん。』
俺のその返事とほぼ同時に引き金に添えていた澪の指に力が入る。
音もなく放たれた弾はまっすぐ目的に向かっていく。
仕掛けた盗聴器から聞こえる窓が割る音と、何事かと騒ぐ声。
「当たった。」
澪がそうつぶやいた瞬間、盗聴器からは王を心配する声が。
当たっているってことは、澪がしくじっているわけがないため、計画通りだ。