俺たちは夜に舞う蝶らしい
「…………RedはKINGでは最高ランクで危険な仕事のことを指す。
そして、危険な仕事と通常の仕事との境界線を越える……つまり一回の仕事で命を落とす仕事をする者の候補に凛音が載っていた。」
「翼もね。」
蘭音と澪が言う。
「KINGはそうやって厳選してたらしくてね、今まで目をつぶってたけど、ちょっと身内に手を出されたら黙ってられないって昭美さんが全面戦争を決めたんだ。」
きっかけは俺たちかもしれないけど、それでももともといつかはって思ってたんだろうな。
ってか、この計画12年前から始まってたのかよ。
「全面戦争って言うのは簡単だけど、いろいろと準備が必要だった。
まさか第一段階で要さんにバレると思わなかったし、その後すぐに秋雨さんに知られるなんて思わなかったよ。」
「要にバレた時点で洋さんにも伝えたし、夕さんなんて何となく気がついてたみたいだね。」
つまりは俺と翼だけが何も知らなかったと。
「まあ、初期以外の計画の全貌を知ってたのは澪だけだよ。」
蘭音が苦笑いしながらいう。
「俺たちは澪の読み通りに動いただけ。」
その言葉に俺と翼は目を見開き、ボスと蘭音は苦笑い。
未羽さんは〝澪くんだもんね〟と笑う。
視線が集まっている当の本人は何を考えているかわからずただ、目を瞑っている。
『……それで、計画を俺たちに言ったってことは何か起こるの?』
「さぁ?」
『はぁ!?』
楽天的な蘭音に思わず殺意が湧いた。
「言ったでしょ。
初め以外の計画はもう澪にしか分からないの。
まあ、俺らもなんとなくは聞いてるし提案もしたけど確実に読み切ることなんて澪にしか出来ないよ。」
やれやれといったように話す蘭音。
その時、閉じられていた澪の目がゆっくりと開く。