俺たちは夜に舞う蝶らしい
「…………蘭ちゃん、かかったよ。」
「お、流石。
澪の読み通りだなぁ。」
蘭音は澪の言葉に笑うとどこからかインカムを人数分出してくる。
澪は無言で銃の点検をしだし、ボスはパソコンを取り出しおそらくKINGの情報だろうものをチェックしていた。
「今からKINGを潰しに行く。
要は既に所定の位置にいるし、秋雨の方も裏特を動かす準備は出来てる。」
「壱条もいつでも動けるみたいだよ。」
よく見ると俺と翼以外の全員がインカムをつけてる。
「凛音、翼。
情報処理、できてないと思う。
だけど、手を貸してくれないかな?」
「ぶっつけ本番すぎてわけわかんないですね。
ま、死なないように暴れればいいんでしょ?
それに、師匠に頼まれちゃ断れないですね。」
今まで黙って話を聞いていた翼はふわりと笑う。
おどけたように返してはいるが、緊張やプレッシャーはすごいはずなのにそれを一切見せないなんてね。
翼の言葉を聞いて澪が短剣を翼に渡す。
短剣に描かれてる紋は黒羽のもの。
つまりは澪の短剣だ。
「手入れはしてあるよ。
それ、高いやつだからちゃんと返してよね。」
「わかった。」
澪らしい不器用に相手の無事を祈る言葉と共に短剣を受け取り、奥の部屋へ引っ込む翼。
仕事スタイルに着替えるんだろう。
「凛音は?」
『俺は……』
澪や翼に名前を継がせて蒼炎を作った時から始末屋一本にしてたから腕は確実に鈍ってる。
短時間ならまだしも、KING相手じゃ短時間なんて不可能で足でまといになるのは目に見えてる。
「凛音さん、刀粉砕するくらいに力あるくせになに心配してんの?」
澪が声のトーンをワントーン落として聞いくる。
先ほどの拳銃とは違いライフルの点検をしてる澪は、裏仕様に変えてるらしい。
「それに、簡単に足でまといになるって思ってたら声なんてかけないけど。」
「凛音、無理はしなくていいけど頼めないかな?」
『……仕方ないなぁ。』