俺たちは夜に舞う蝶らしい
秋雨side
『…やっぱりバレてたか。』
インカムから聞こえたその声に笑う。
澪は俺が裏切り者だと分かっていて、それでもインカムを渡したんだろう。
いつから分かっていたかは知らない。
分かっているのは、俺が警察の名を利用しKINGという場所で玉座に座っていたこと。
澪たちは俺を殺しに来ること。
俺にとどめをさせるのは現状では澪しかいないこと。
翼も俺を殺りに来ようと思えばできるだろうが翼じゃ俺に勝てない。
それは経験の差だ。
蘭音も凛音も……それに要も、何だかんだで1度信じた者には甘い。
その反面、澪は違う。
そうしなければならないと確信したその時。
戸惑うことなく刃を振るうことが出来る。
その覚悟を決めるまでにどれだけの時間を有したとしても。
それが最善だと決めれば、親友であろうが恩人であろうが切ることが出来るだろう。
「[秋雨さん。
ひとつ聞いていいですか。]」
走る音と、いつの間にか降り出していた雨の音と共に澪の声が聞こえる。
『どうぞ?』
「[凛音さんや要さん、蘭ちゃ……蘭音さんと一緒にいたあなたの時間は……。
本物だったと信じていいですか。]」
『……………………。』