俺たちは夜に舞う蝶らしい
澪は“いつもと同じ笑顔”を見せる。
けど、その目はどこか悲しみを含んでいてどこか泣きそうで……
「KINGを潰したって何も変わらない。
それは、誰もがわかってる。
殺し屋とか情報屋とか…そんなのがいるから無駄な争いが増える。」
『……っ、そんなの綺麗事だろ!?
お前らも、俺も…あいつらだってこの世界で生きる方法しか知らねぇ!』
「…………そうだね。」
『血塗られた世界でしか生きれねぇなら、ここで上を狙う。
何を踏み台にしたとしても!』
「僕たちは人を殺して生きてる。
だから、背負わなきゃいけない。」
澪は手に持った短刀を構えるでもなく、俺の攻撃を警戒するでもなくただ俺を見て言葉を発する。
隙だらけの澪は、今なら簡単に殺せるというのに俺の足は動いてはくれない。
「悪人だとしても、善人だとしても。
殺した人の命を、一生を背負って生きていかなくちゃならない。
この世界で生きていくためにいる覚悟は、殺す覚悟と死ぬ覚悟なんかじゃない。」
『ふざけるな。
この世界は生きるか死ぬか。
この腐った世界を変えるためには、こんな世界でも上がいるんだよ!』
「僕たちに必要なのは〝生きる覚悟〟と〝守る覚悟〟だよ!!
生きて、目の前の人を守って。
悪人だとしても善人だとしても、その人の命を背負ってその人の生きた証を守ることなんだよ!」
澪の頬に流れるのは雨なのか、それとも違うものなのか。
分からない。
だけど、澪の言うことは当たってもいた。