俺たちは夜に舞う蝶らしい
翼side
〜2ヶ月後〜
「お前らよく無事だったな。」
『それは秋雨さんにも言えることでしょう。
要さんが下手でよかったですね、下手で。』
「2回も言うんじゃねぇよ!!」
『まあ、澪曰く要さんが下手であることを見越しての計画だったそうですし
秋雨さんが死ぬほど痛い思いするだけだし……
ってか、そもそも痛い思いしてもらうためのやり方でもあったみたいですし。
澪が言ってましたよ?
「要さんが急速に上達してたらどうしようとか……僅かながらに賭けの可能性もあったけど、よかった!要さんがヘタクソのままで!」
っていい笑顔で。』
「うるせぇぇぇ!」
病院のベッドの上で体を起こしている秋雨さんの言葉に俺が返すと、いつの間にか来ていた要さんがつっこむ。
この人、神出鬼没すぎるだろ。
「けどさ、なんで助かったんだ?
俺でさえ爆弾の存在知らなかったんだぜ?」
『窓から飛び降りました。』
「あそこ、かなりの高さだぞ。」
『だから、俺も澪も無事じゃなかったじゃないですか。』
「翼はともかく澪にいたってはかなりの痛手なんじゃねぇの?」
「特に痛手でもなんでもありませんけど。」
秋雨さんも要さんも眉を下げて言う。
すると間髪いれずに澪の声が扉の方から聞こえた。
その後ろには凛音さんと蘭音さんがいる。
「揃いも揃って心配しすぎなんですよ。」
「そりゃ、心配されるでしょう。」
「まぁ、澪の無茶は慣れるしかなさそうだけどね。」