24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
(あんな男に、彼女は泣かされたのか? 自分のことは棚に上げて、彼女にすべてを押しつけるような……)
会うことはないと思っていた拓也との遭遇に、立花の怒りはどんどん沸点へ近づいていく。
もしかしたら、由紀もいずれ捨てられるかもしれないと予感したものの、興味のない他人の恋愛に干渉するほどお人よしでもない。
通路にあるベンチを見つけ、立花は伊鈴を座らせた。
案の定、涙をこらえている彼女を見て、いてもたってもいられなくなる。
「泣きたい?」
小さくかぶりを振る伊鈴をそっと抱きしめ、女性らしい艶やかな髪を撫でた。
(いい1日をって、精いっぱいの嫌みだったんだろうなぁ。それも、きっと男に言いたかったんだろうに)
「立花さん、お友達だなんて言ってごめんなさい」
「え?」
予想だにしなかった反応に、立花はきょとんとして手を止めた。