24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

 銀座の街に着く頃には、16時を回っていた。

 立花は自分の店の前に停めた車内に伊鈴を残したまま、店内へ入っていく。
 そして、5分とかからずに包みを持って出てきた。


「これ、よかったら。プレゼント第2弾」
「ええっ!? いいんですか!」

 和菓子の詰め合わせを手に、伊鈴は嬉しそうに微笑む。


「贈答品の定番物で悪いんだけど」
「嬉しいです! 帰ったらお茶を淹れてじっくり楽しませていただきます」

(本当に和菓子が好きなんだなぁ)

 もし、彼女が失恋していなかったら。
 昨日の19時過ぎに、店にやってこなかったとしたら。

 こんなに切なくて苦しくて、急かされるような恋をしただろうか。

(雨が止むまでなんて、格好つけるんじゃなかったな)

 立花は、伊鈴の屈託ない笑顔に、さらに想いを強くする。

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