24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
Time limit
「言い残したワガママはない?」
「十分です。最高に楽しい誕生日になりました。ありがとうございました」
茗荷谷の自宅に向かう車中は、さっきまでと変わらず会話が続く。
だけど、いずれ終わると分かっていたはずなのに、もう少しだけと願うようになった。
(もう1回、雨降ってくれたらいいんだけどな……)
立花は運転しながら空模様を伺い、すっきりとした夜空に乞い求める。
強引に帰さないようにもできたが、嫌われたくない想いが先に立った。
「月曜からは、また仕事?」
「はい」
「あの友達とも顔を合わせるの?」
「そう、ですね……。でも、彼女には打ち明けないでおこうと思います。言って満足するのは私だけで、彼女の幸せは別の話だし……」
自分の恋と由紀の恋は別物だ。
もしかしたら、本当に結婚を考えているのかもしれないし、それを壊す権利もない。
終わった恋の抜け殻を、いくら彼女たちにぶつけたところで、誰も幸せにはなれないと思ったのだ。