24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
停車した車の中、後部座席に置いたショッパーと和菓子の詰め合わせを、立花から受け取る。
「本当にありがとうございました。こんなに素敵なプレゼントまでいただいてしまって、どうお礼を返せばいいのか……」
「お礼は要らないよ。デートができただけでいい」
会話の隙間に、きっかけを探す。
立花は、もうふたりで過ごせなくなるのが、心の底から嫌だとワガママを言いたくなった。
このところ、ずっと恋愛に食傷気味だったのに、ひらりと舞うように伊鈴が現れた昨夜に戻りたい。
また彼女を泣かせることになるし、そうなればパンダのような顔を見せてもらわなくてはならないけれど、どんな伊鈴を見ても、恋をする自信があった。
助手席に座る愛しい人は、シートベルトを外して帰ろうとしている。
引き留めるなら今しかないだろう。
分かっているのにできないのは、嫌われたくない思いと彼女を想うばかりに心を奪えないせいだ。
――でも、今夜は二度とないから。