24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「お待たせいたしました。おはぎとカステラです」
「ありがとうございます」

 店名が入った抹茶色の紙袋を受け取って、伊鈴は踵を返した。

(また近いうちに来てみよう)

 今夜の再会は諦め、買った和菓子をゆっくり楽しみながら、彼を想うのもいい。
 いつ会えるのかわからないけれど、ここに来ればいずれは会えるはずだ。


「ありがとうございました。お気を付けて」

 店員の声を背に受け、引き戸に手を伸ばした、その時。
 先に外側から開けられた引き戸が、カラカラと心地良い音を立てる。

 ゆっくりと開けられた戸の向こうに、真っ白な足袋の足元と濃紺の着物姿がある。

 そして、暖簾がめくられ、凛々しい顔の立花と目が合った。

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