24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「こんばんは、十河さん」

 立花は、予期しなかった再会の驚嘆をはんなりした微笑みの裏に隠した。
 店にいる手前、あくまでも店主としての振る舞いが求められるからだ。


「こ、こんばんは……」

(どうしているの!?)

 諦めて萎れた気持ちが、瞬時に膨れあがる。


「どうしました? そんなに泣きそうな顔をして」
「立花さん、今日はいないんだと思ったので……」

 しかし、感極まった伊鈴の瞳から涙が零れたのを見て、立花も感情を抑えられなくなった。


「私に会いに来てくださったんですか?」

 問いかけに頷く伊鈴に触れたくてたまらない。
 たった1週間前の出来事が、何年も前のことのように感じられるほど、彼もまた伊鈴を渇望していた。

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