24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

 キッチンから立花が戻ってきた。
 梅酒とブランデーのボトル、炭酸水のペットボトルと氷が入ったグラスを二つ持ち、伊鈴の隣に腰かける。


「ひとまず、乾杯」
「乾杯……」

 グラスを軽く当て、ひと口ぶんだけ飲む。
 先週はやけになって、大して強くもないアルコールに飲まれ、泣いたり愚痴ったり……。


「この前は、本当にありがとうございました」
「俺も、久々にデートができて楽しかったよ」

(久々に? 立花さんなら引く手数多だと思うんだけどなぁ)

 伊鈴がちびちびと梅酒ソーダを飲む間に、立花は1杯目を空けた。
 ボトルからブランデーを注ぎ足し、グラスを回してから、ソファに大きくもたれた。


「立花さんは、ひとりでここに暮らしてるんですか?」
「そうだよ」
「恋人は?」
「いないよ、そんな相手。好きになった子を、今夜どうやって靡かせようかは考えてるけど」
「……えっ!?」

(今夜、って……)

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