24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
今までなら、こんなふうに恋を始められなかった。
たくさん会話を重ね、日々をどう暮らしていて、どんな趣味嗜好を持っているかを知っていく時間を省くなんて論外で、互いに慎重に関係を築くものだと思っていた。
でも、今は、そんなことは思わない。
時間をかければ相手のことが分かるわけではないからだ。
2年も傍にいたのに、平気で裏切られた経験は、きっと今夜に繋がっている。
(でも……立花さんは?)
自分はそう思っているけれど、彼はどうなんだろう。
「立花さん」
「なに?」
「どうして、誕生日を一緒に過ごしてくれたんですか? あんなに優しくしてくれたの?」
「気になってたからだよ。放っておけなかったんだ、君のことが」
羽織を脱ぎ、ソファの背に掛けた立花は、迷うことなく返事をする。