24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
現に、立花の横顔には誠実さが見て取れる。
伊鈴も、世間一般でいう〝悪い男〟や〝軽い男〟という類に括られる男性については、個人的なかかわりこそないものの、接したことならあるのだ。
社内でも評判の合コン好きだったり、学生時代のモテモテ男子だったり、探せばすぐに目につくものだ。
(それから、拓也も……そうだったんだろうな)
伊鈴は自分の見る目がないのか、2年を過ごすうちに拓也が変わってしまったのかわからなくなった。
付き合い始めた頃からしばらくは、彼はとても誠実だと思っていたし、愛されている実感もあったからだ。
立花が番傘を閉じて、ホテルのロビーに入る。
来客に気づいた男性コンシェルジュがやってきて、丁寧に一礼して挨拶をし、立花の番傘を預かった。