24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「ラウンジを使わせていただきたいのですが」
「かしこまりました。ご案内いたします」

 出張で泊まるビジネスホテルとも、拓也と記念日に泊まったホテルとも違う、グレードの高さに呆然とする。
 見るからに高そうな調度品などはもちろんのこと、スタッフの接遇や肌で感じる空気まで、初めて感じるものだ。


 ホテルに入る前に繋いでいた手を解かれた立花は、警戒されているのだろうと思い、少し距離を取って歩く。

(そりゃそうだよな。俺のことなんてろくに知らないのに)

 あくまでも、彼女は店に来た客。
 しかし、たった2時間ほどの時間を共にしただけで、惹かれてしまったのだからしょうがない。
 彼女が自分の見ていないところで泣き崩れ、知らぬ男に声をかけられるのを想像すると、とてもつまらない気持ちになるのだった。

(交際に繋がるような恋に発展するのか、一夜の幻のような時間を過ごすのか、苦しい片想いをするのか……)


「飲みすぎない程度に、楽しみましょう」

 伊鈴にそう言いながらも、立花はこれ以上暴走しないように自重を決めた。

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