24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
なにを言っても、立花はきちんと話を聞いてくれて、慰めて、たまに褒めてくれる。
誕生日に1番欲しかったものを立花がくれたようで、また伊鈴は涙をこぼした。
ラストオーダーまでに、伊鈴はティツィアーノというカクテルも2杯飲んだ。初めて飲んだそれは、スパークリングワインとグレープフルーツの爽やかさで気分がよく、すっかり酔ってしまった。
それから、香川産のキウイや旬の林檎、葡萄、洋梨やメロンなどのフルーツ盛り合わせも平らげ、またしてもお腹は膨れている。
立花も、入れていたボトルの大半を飲み、日付が変わった頃にバーラウンジを後にした。
「大丈夫?」
エレベーターを待つ間、漆黒の絨毯が敷かれた通路に、伊鈴が膝から崩れた。
(やっぱり、そんなに強くないんだな……)
立花は迷うことなく軽々と横抱きにして、到着したエレベーターに乗り込む。
酔った視界に、精悍な立花が映る。ふわりと漂った白檀の香りが伊鈴に安心感をもたらした。
「……ごめんなさい」
「謝らなくていい。今夜は、俺が君を守るって決めたから。わかった?」
頷くと、立花は優しい微笑みを返してきた。