24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

 カフェを出て、複合施設の中で色々な店を見て回ることにした。
 外に出なければ、せっかく買ってもらった服や靴も汚れずに済む。


「こういうのも似合うんじゃない?」
「……あ、意外といけますね。って、立花さんのそれは」
「え? 変かな?」
「っ、あはははは! 似合わなさすぎて逆にアリかもしれないですけど」

 仕事中に使う眼鏡を新調しようかと、眼鏡店に並ぶサンプルを試しにかけていたら、ティアドロップ型の紫色のサングラスを掛けた彼に笑わされた。


「あ……」

 立花の背後に、見覚えのあるふたりの姿を見つけた。
 伊鈴が顔を隠す暇もなく、都合を知らない由紀と目が合ってしまった。


「伊鈴も来てたんだ!」
「うん、ちょっと前に……。こんにちは、いつもお世話になっております」

(ここは、会社で接するようにするべきだよね?)

 伊鈴が拓也に挨拶すると、向こうも微笑みを作って小さく頭を下げた。

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