24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「こちらこそ、いつもお世話になっております。十河さんと休日にお会いするとは」
「そうですね。びっくりしました」

(どうしよう。由紀になんて言うべき?)

 拓也との過去を打ち明けるべきなのか悩み、まだ答えが出ていない伊鈴は目を泳がせる。
 すると、背後で眼鏡を見ていた立花がそっと隣に立ち、彼女の背中に優しく触れた。

(自分でちゃんとしなきゃ。こうなったら、拓也と向き合ってケリをつけておかないと!)

 彼の優しさに甘えたところで解決しない。
 これは、裏切った拓也と本音でぶつかれずにいた自分の問題なのだから。


「伊鈴、お隣は?」
「お友達の立花さん。今日は私の誕生日に付き合ってくれてて」

(……って紹介してよかったのかな)

 立花をそっと見上げると、彼は目を瞠るような美しい微笑みで伊鈴を見下ろす。

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