天満つる明けの明星を君に【完】
早寝早起きの天満は誰よりも早く起きて大きく伸びをした。
目を擦りながら雛菊の方を見ると、まるで本当の親子のように身を寄せ合いながら一緒に寝ていて、和んだ。
「雛ちゃんの耳の…きれいだな」
雛菊の左耳には真っ赤な紅玉の耳飾りが付けられていて、可愛らしい雛菊の印象とは少し違う。
欠伸をしながらじっと見ていると――浴衣の帯をくいっと引っ張られて目を遣ると、朔がにやにやしていた。
「朔兄…おはようございます。眠たい…」
「雛ちゃんと一緒に寝れば良かったな」
「え!?な…何を言うんですか…男女同衾するべからず…」
「冗談だけど」
むっとして朔のわき腹を触りまくってふたり笑いながら転げ回っていると、息吹と雛菊が起きた。
「もう、朝から元気なんだから。……やばい!寝坊しちゃった!主さまが帰って来ちゃう!ご飯作らなくちゃ!」
いつもは起きている時間なことに気付いた息吹が手で寝ぐせを直しながら部屋を飛び出ると、雛菊は頭から布団を被って小さな欠伸をした。
「そっか…もう帰らなくちゃ…」
癖なのか、耳飾りを触りながらぽつりと呟いた雛菊ににじり寄った天満は、そのどこか違和感のある耳飾りを指した。
「それって雛ちゃんの?」
「これは…お母様の形見なんです。ふふ、私にはまだ似合わないですよね」
「似合わなくはないけどちょっと気になったから。…ごめんね」
「ううん、いいんです」
「天満の聞きたがり知りたがりが始まったぞ。顔を洗いに行こう、そろそろ父様が帰って来るから」
天満は反射的に雛菊に手を伸ばした。
雛菊はその手を握って立ち上がった。
朔はにやつきそうになるのを欠伸をして誤魔化しながら、庭に下りて井戸に向かった。
どうやら息吹は雛菊を気に入ったようだ。
後は――天満の背中を押すだけ。
俄然張り切った。
目を擦りながら雛菊の方を見ると、まるで本当の親子のように身を寄せ合いながら一緒に寝ていて、和んだ。
「雛ちゃんの耳の…きれいだな」
雛菊の左耳には真っ赤な紅玉の耳飾りが付けられていて、可愛らしい雛菊の印象とは少し違う。
欠伸をしながらじっと見ていると――浴衣の帯をくいっと引っ張られて目を遣ると、朔がにやにやしていた。
「朔兄…おはようございます。眠たい…」
「雛ちゃんと一緒に寝れば良かったな」
「え!?な…何を言うんですか…男女同衾するべからず…」
「冗談だけど」
むっとして朔のわき腹を触りまくってふたり笑いながら転げ回っていると、息吹と雛菊が起きた。
「もう、朝から元気なんだから。……やばい!寝坊しちゃった!主さまが帰って来ちゃう!ご飯作らなくちゃ!」
いつもは起きている時間なことに気付いた息吹が手で寝ぐせを直しながら部屋を飛び出ると、雛菊は頭から布団を被って小さな欠伸をした。
「そっか…もう帰らなくちゃ…」
癖なのか、耳飾りを触りながらぽつりと呟いた雛菊ににじり寄った天満は、そのどこか違和感のある耳飾りを指した。
「それって雛ちゃんの?」
「これは…お母様の形見なんです。ふふ、私にはまだ似合わないですよね」
「似合わなくはないけどちょっと気になったから。…ごめんね」
「ううん、いいんです」
「天満の聞きたがり知りたがりが始まったぞ。顔を洗いに行こう、そろそろ父様が帰って来るから」
天満は反射的に雛菊に手を伸ばした。
雛菊はその手を握って立ち上がった。
朔はにやつきそうになるのを欠伸をして誤魔化しながら、庭に下りて井戸に向かった。
どうやら息吹は雛菊を気に入ったようだ。
後は――天満の背中を押すだけ。
俄然張り切った。