運命の人と運命的ではない出会い方をしてしまった

ご主人様

「新入生代表挨拶。
代表、近藤理央。」



入学式が始まって、もう1時間が経つ。
微睡んでいた私は、突然の呼名にピクリと反応する。



「はい。」



隣に座っていた彼が返事をして壇上に上がって行く姿を見て、同名なことを改めて自覚する。



「やっぱり、理央くんだった。」



『え?』



ぼそっと呟いた杏ちゃんに目を向ける。



「他の学校もそうだろうけど、代表は入試の高得点者の人でしょ?
理央くん、中1から一回も成績落としたことないんだよ。」



「すごいよなー、学校で勉強してる素振り見せねー癖に。」



『へー。』



壇上で話す彼を見つめる。
さっきまで話していたクラスメイトが急に遠くなった気がした。



「でも意外だったわ。
理央くんが女の子とあんなに話すなんて。」



『え?』



「それは俺も同感。」



「女嫌いで、話しかけられても無視。
口を開いたと思ったら“邪魔”の一言。」
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