運命の人と運命的ではない出会い方をしてしまった
「あんまり深くは聞けないけど、何か事情があって独り暮らししてるみたい。
バイトも何個か掛け持ちしてるみたいで、体休まってないんじゃないかな・・・」



眉を下げて心配そうに隣の空席を見つめる黒坂を見て、ポッケに入れてたスマホを取り出す。



既読をつけずに消したメッセージを開いて画面と睨めっこする。



なんて送ろうか。



「おはよう。
朝ごめんね、理央くん。」



そして今日聞くことができないと思っていた声がして、振り返る。



「おはよう、理央ちゃん。
大丈夫なの?無理しすぎじゃない?」



「あはは、大丈夫だよー。」



マスクをして席に座るソイツは、どこからどう見ても体調が悪そうだ。




『黒坂、俺ら帰るから。
あとよろしく。』



「え?」



無理して笑っている姿を見たくなくて、俺は腕を引いて教室を出る。



「ちょ、ちょっと?理央くん!?
今来たばっかなんだけど。」
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