そばには、いつもキミがいた。
story*1 私の好きな人
教室へと続く階段をひたすら上っていく。
私、中谷彩夏 (なかたに さやか) 、小学六年生。
今日の私の気分を色でたとえると……、ブルーです。
その理由は、すごくシンプルなこと──。
「おっ!彩、おはよう」
教室に入る一歩手前で、誰かに背中を軽く叩かれたかと思うと、同時に声をかけられた。
聞き覚えのあるその声に、胸の奥がギュッと苦しくなるのを感じた。
だけど私は、平静を装って、後ろを振り返った。
「おはよう、翔!」
精一杯の笑顔をその人物へと向ける。
私に話しかけてきたのは、幼なじみの加藤翔馬 (かとう しょうま) だった。
明るくて、元気いっぱいの彼は、いつも私の心を癒してくれる。
それは、今この瞬間もそうだった。
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