そばには、いつもキミがいた。
「彩が、上の空とはな」
お昼休み。
教室の隅っこのほうに、私と翔はいた。
さっきの出来事を、ケラケラと笑っている彼。
「そんなに、笑わないでよ~」
「ごめん、ごめん」
ごめんって言いながら、まだ笑ってる……。
そんなに、さっきのが面白かったの?
自分じゃ、全っ然わかんないけど。
「どんだけ、笑うのよ~」
彼の背中をバシバシ叩きながらも、内心まんざらでもない私。
だって……、どんな理由でも、好きな人の笑顔が見れるのは、誰だって嬉しいものでしょ?
「痛い、痛い。悪かったって」
「絶対、悪いと思ってないでしょ~」
もう一度、背中を叩こうと手をあげたとき、彼は何かを思い出したように言った。
「あ、悪い。俺、そろそろ行くわ」
「え?」
行くって、どこに……?