そばには、いつもキミがいた。

もしかして……。


「ゆりちゃんのとこ?」


私がそう聞くと、一瞬で顔を真っ赤にさせる彼。


……やっぱり、そうなんだ。


「……うん。行ってくる」


「待って!」


私は咄嗟の判断で、彼の腕を掴んだ。


「彩?」


「えっ、あ……」


ハッとして、掴んでた腕を離した。


「……いや、なんでもないの。ちょっと、ゴミついてたから、取りたくて」


もちろん、そんなのはウソ。


だって、言えない……。


彼女のもとに行かせたくないから、咄嗟に掴んでしまっただなんて。


「驚かすなよな~。それじゃーな」


半分呆れながらそう言った彼は、私に背を向けて、教室を出ていった。


その姿をただ、じっと見ているだけの私。


何で、そんなに嬉しそうにしてるの……?


胸がギュッと切なくなる。

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