そばには、いつもキミがいた。
story*3 手遅れだとしても
──あの日から、数日が経過した日の放課後。
私はひとりで、家までの道のりを歩いていた。
一ヶ月前まではずっと、隣には翔がいて、一緒に家まで帰っていたのに……。
ゆりちゃんと付き合いだしてから彼は、私とは帰らず、ゆりちゃんと帰るようになった。
いなくなってから、そばにいてくれた彼が恋しくなるなんて……。
ホント、バカだよ、私。
全部自分が悪いのに……。
「あれ?彩夏ちゃん?」
ボーッと歩いていると、前方を歩いていたひとりの女の人に声をかけられた。
聞き覚えのある声……。誰だろうと思い、顔をあげてみると、そこには私が小学一年生のときに、毎朝一緒に登校してくれた山下華音 (やました かのん) さんがいた。
私が小学一年生のときに、彼女は小学六年生だったから、今はもう大学一年生かな?
「華音お姉ちゃん……」
「え、どうしたの?」
私が、今にも泣きそうな声で言ったからだろうか。
華音お姉ちゃんは、下を向いて見えなくなった私の顔を下からのぞいて声をかけてくれた。