そばには、いつもキミがいた。
「翔が……、私のそばにいて苦しむくらいなら、他の人と幸せになってくれたほうが、ずっといい……」
私の答えに、華音お姉ちゃんは、優しく微笑んだ。
「それなら、早く行ってあげて」
「え?」
「翔くんに、その想いを伝えておいで」
「でも、伝えても困らせるだけになっちゃう」
私がためらっていると、華音お姉ちゃんは背中をポンと押した。
「伝えないほうが、あとで絶対後悔すると思うよ」
「……っ」
「行ってきな」
「……ありがとうございます」
私は頭を下げると、家まで猛スピードで走った。
少しずつ暮れていく太陽の日差しで、私の背中はポカポカと暖かくなった。
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