そばには、いつもキミがいた。
story*4 キミのことが、大好きだから。
「着いた……」
私は、彼の家の玄関前に来ていた。
私たちは同じマンションで隣同士。
私が三○一号室で、彼の家は、三○二号室。
それだから、昔から家族ぐるみで仲がよかった。
そんな彼の家に訪問するのは、実はかなり久しぶりだったりする。
しかも今日は、遊びに来たわけではない。
想いを伝えに来たんだ……。
緊張で、手が震える。
インターホンに手を伸ばしてみるけど、なかなかボタンが押せない。
そのとき──。
「彩?どうした?」
愛しい人の声が、聞こえた。
声のするほうを振り向くと、彼はいつものように笑って立っていた。
その姿をみて、思わず泣きそうになる私。
だけど、ここで泣いてしまったらダメだ。
そう思い直した私は、必死で涙を堪えて、彼と目を合わせる。