そばには、いつもキミがいた。
「最近、毎日暑いよなー」
「そうだね」
そんな言葉を交わしながら、ふたりで教室へと上がると、「翔くん」と呼ぶ女の子の声が後ろから聞こえた。
ふたり同時に、後ろを振り向くと、そこにいたのは、クラスメートの河合 (かわい) ゆりちゃんだった。
「ゆり!おはよう!」
隣にいる翔が、満面の笑みで声をかける。
その姿をみて、ズキッと胸が痛んだ。
笑いかけられたゆりちゃんの頬は、ほんの少し赤色に染まっていた。
「お、おはよう!あのね、私……、翔くんに話したいことがあるんだけど、今、大丈夫?」
少しためらいながら、ゆりちゃんは翔に問いかけた。
「おぅ!大丈夫!どうかしたのか?」
「あ、えっとね……」
そう言いながらも、なかなか本題に入らない彼女。
不思議に思って見ていると、彼女はチラチラと私のほうに視線を送っていた。
私には、聞かれたくないことなのかもしれない……。