そばには、いつもキミがいた。
「私、翔に話したいことがあるの……」
「ん?なに?」
「……あのね」
言わなきゃ。
翔のことが好きなんだって。
そう……、思っているのに……。
「……っ」
徐々に、視界がボヤけてくる。
コンクリートでできた地面に、ポタッと水滴が落ちる。
「ど、どうした?彩……」
私が泣いたせいで、翔を困らせている。
こんなんじゃ、ダメだ……。
ちゃんと、言わなきゃ。
怖いけど、辛いけど、伝えなきゃ……。
「私……、翔のこと……き……」
「え?」
「私は、翔のことが好きなの……っ!」
ポロポロと涙をこぼしながら、私は彼にはっきりとそう伝えた。
翔は、目を見開いて驚いている。
「いきなり、こんなこと言って困らせるのはわかってる。だけど、もう隠しておけなくて……。
翔が、ゆりちゃんと付き合ったとき、気づいたの。私は、翔のことが好きなんだって」
うなずくことも会話を遮ることもせずに、翔は私の話を黙って聞いてくれている。