そばには、いつもキミがいた。

あのふたりの幸せそうな姿を見なければ、少しは心が軽くなると思って……。


だけど今日は、そううまくはいかなかった。


私の席の近くで、女の子たちがヒソヒソと会話をし始めたんだ。


「あのふたり、付き合いだして、更に仲良くなったよね」


「うんうん!美男美女でお似合いだし」


「なんかもう、すべてが完璧なカップルって感じたよね~!」


彼女たちの一言、一言に、胸がズキズキと痛む。


あのとき、私が自分の気持ちに気づいていたら、今こんなことにはなっていなかったのに……。


──キーンコーンカーンコーン。


そんなことを考えていると、いつのまにか授業開始を知らせるチャイムが校内に鳴り響いた。


ガタガタとイスをひくときに出る鈍い音が、教室中に広がる。


ようやく顔をあげた私は、心を切り替えて、授業へと集中した。


いや、しなければいけないと思った。


こういうときこそ、集中するべきだと。


そう思っていたのに、私の脳内であの日の映像が映しだされていた──。


.





.

< 7 / 23 >

この作品をシェア

pagetop