そばには、いつもキミがいた。
あのふたりの幸せそうな姿を見なければ、少しは心が軽くなると思って……。
だけど今日は、そううまくはいかなかった。
私の席の近くで、女の子たちがヒソヒソと会話をし始めたんだ。
「あのふたり、付き合いだして、更に仲良くなったよね」
「うんうん!美男美女でお似合いだし」
「なんかもう、すべてが完璧なカップルって感じたよね~!」
彼女たちの一言、一言に、胸がズキズキと痛む。
あのとき、私が自分の気持ちに気づいていたら、今こんなことにはなっていなかったのに……。
──キーンコーンカーンコーン。
そんなことを考えていると、いつのまにか授業開始を知らせるチャイムが校内に鳴り響いた。
ガタガタとイスをひくときに出る鈍い音が、教室中に広がる。
ようやく顔をあげた私は、心を切り替えて、授業へと集中した。
いや、しなければいけないと思った。
こういうときこそ、集中するべきだと。
そう思っていたのに、私の脳内であの日の映像が映しだされていた──。
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