イヤホン越しの恋人。
里香とトモ君のやり取りから、ふと壁に貼られている中で1枚写真に視線を注ぐ。
ピースして楽しそうに笑うご主人と子供達の中に里香がいて、にっこりと笑ってこちらを見ていると
━━━俺が家族になるよ
包み込むようなヒロの優しい声がとつぜん脳裏に響いて、穴だらけの心の中にポンと落ちて静かに弾けて消えた。
ズキン……鳩尾(みぞおち)の奥が痛い。
ずっと一人ぼっちだと諦めてた私にとって、唯一の居場所だと思ってた。
大切に思うからこそ、だから…私のことをこんなにも必要としてくれているんだ。って、ずっと思ってた……
暴言を吐かれるけど、でも、父よりはマシだから………父は母に暴力を奮(ふる)っていたからそれよりは全然マシだからって、そう思う事自体…………間違いだったんだよ。。。ね
里香の笑顔から逃げるように、写真から視線を外した。
そんな間でも、トモ君は里香に何かを要求し、里香は呆れるように笑って応えている。
ー
「ほんま、うるさくてごめんやで!」
到着した昼食を広げながら里香が私に謝った。
トモくんは自分の椅子に座って、キャラクターのお弁当箱の中のタコさんウインナーに、上手にフォークの先を刺して口へと運んでいる。
「ううん。落ち着く!ってか……美味しそうー!」
思わず声のトーンが高くなってしまったのは、日替わり定食の蓋を開けたから。
鶏の照り焼きとハンバーグの下にキャベツの千切り。
ポテトサラダとコーンに、お新香と白米には黒ごまがかけられている。
食欲をそそる匂いを吸い込みながら、蓋をテーブルの上に置いて、ソースの封を切って鶏とハンバーグにドロりと落とした。
「あー、ほんま楽ー!出前最高!」
と、手を合わせる里香。
「外食の方が楽……では、ないか」
空になったソースの袋を、裏返した蓋の上に置いてティシュで指先を拭く。
トモくんじっとしてないし、上の2人もパワフルだもんな。ゆっくり食べてなんてられないよね里香。。
「自分でつくるよりはまだ楽やで?“まだ"な。ほら、上のお兄ちゃんら2人おるやん?前嫁の子供2人」
箸(はし)を取り出して割る。
「うん」
いただきますと手を合わせる私に
「お兄ちゃん達が来た時は絶対外食がいい」
里香は、まずハンバーグを箸で割ってパクリ。
口を動かしてる最中に、トモ君がポテトにケチャップをつけすぎたので、慌てて別のポテトを手渡した。
「出前の方がよくない?大変やろ?」
3切れに切ってある照り焼きチキンを箸で挟んで、半分に噛み切った。
…………おいしい……
柔らかいモモ肉とソースが口いっぱいに広がってく。
本当に久々の料理だ。
「お兄ちゃん達はもうほんまに大きいから、家におられるとさ……」と言って「アツクルシイ」小声で続けた。
ご主人はラグビーでもしてそうな体型で、前妻の子供2人は負けず劣らずな外見だもんな……。
「とても中学生と高校生には見えない…って思う。写真しか見たことないけど」と、壁に目をやる私に
「いや、ほんま食欲も鬼やで?唐揚げなんてキロ単位!」
大きい口を開けて、白ご飯を突っ込んだ里香。
…………え?!き、きろ?!
眉を大きく上げて里香を見た私に
“そうなるわな"と、強く2回頷いた里香は、ご飯をゴクリと飲み込んだ。
ピースして楽しそうに笑うご主人と子供達の中に里香がいて、にっこりと笑ってこちらを見ていると
━━━俺が家族になるよ
包み込むようなヒロの優しい声がとつぜん脳裏に響いて、穴だらけの心の中にポンと落ちて静かに弾けて消えた。
ズキン……鳩尾(みぞおち)の奥が痛い。
ずっと一人ぼっちだと諦めてた私にとって、唯一の居場所だと思ってた。
大切に思うからこそ、だから…私のことをこんなにも必要としてくれているんだ。って、ずっと思ってた……
暴言を吐かれるけど、でも、父よりはマシだから………父は母に暴力を奮(ふる)っていたからそれよりは全然マシだからって、そう思う事自体…………間違いだったんだよ。。。ね
里香の笑顔から逃げるように、写真から視線を外した。
そんな間でも、トモ君は里香に何かを要求し、里香は呆れるように笑って応えている。
ー
「ほんま、うるさくてごめんやで!」
到着した昼食を広げながら里香が私に謝った。
トモくんは自分の椅子に座って、キャラクターのお弁当箱の中のタコさんウインナーに、上手にフォークの先を刺して口へと運んでいる。
「ううん。落ち着く!ってか……美味しそうー!」
思わず声のトーンが高くなってしまったのは、日替わり定食の蓋を開けたから。
鶏の照り焼きとハンバーグの下にキャベツの千切り。
ポテトサラダとコーンに、お新香と白米には黒ごまがかけられている。
食欲をそそる匂いを吸い込みながら、蓋をテーブルの上に置いて、ソースの封を切って鶏とハンバーグにドロりと落とした。
「あー、ほんま楽ー!出前最高!」
と、手を合わせる里香。
「外食の方が楽……では、ないか」
空になったソースの袋を、裏返した蓋の上に置いてティシュで指先を拭く。
トモくんじっとしてないし、上の2人もパワフルだもんな。ゆっくり食べてなんてられないよね里香。。
「自分でつくるよりはまだ楽やで?“まだ"な。ほら、上のお兄ちゃんら2人おるやん?前嫁の子供2人」
箸(はし)を取り出して割る。
「うん」
いただきますと手を合わせる私に
「お兄ちゃん達が来た時は絶対外食がいい」
里香は、まずハンバーグを箸で割ってパクリ。
口を動かしてる最中に、トモ君がポテトにケチャップをつけすぎたので、慌てて別のポテトを手渡した。
「出前の方がよくない?大変やろ?」
3切れに切ってある照り焼きチキンを箸で挟んで、半分に噛み切った。
…………おいしい……
柔らかいモモ肉とソースが口いっぱいに広がってく。
本当に久々の料理だ。
「お兄ちゃん達はもうほんまに大きいから、家におられるとさ……」と言って「アツクルシイ」小声で続けた。
ご主人はラグビーでもしてそうな体型で、前妻の子供2人は負けず劣らずな外見だもんな……。
「とても中学生と高校生には見えない…って思う。写真しか見たことないけど」と、壁に目をやる私に
「いや、ほんま食欲も鬼やで?唐揚げなんてキロ単位!」
大きい口を開けて、白ご飯を突っ込んだ里香。
…………え?!き、きろ?!
眉を大きく上げて里香を見た私に
“そうなるわな"と、強く2回頷いた里香は、ご飯をゴクリと飲み込んだ。