人形の君に心をあげる。
「...あの、大丈夫ですか?」
目を覆いながら、うつむく俺を気にかけるように女が言う。
「...ああ」
その体勢のまま、女を見ることなく答える。
俺のその言い方が冷たく感じたのか、女はそれ以上何も言わなかった。
「...」
「...」
俺も、女も話さない、静かな時間が流れる。
カーテンが風になびいて動く影を目の端でとらえながら、残像が消えるのを待つ。
カーテンの陰に時々女の影が現れるが、女の影は動くことがない。
窓を背に、うつむく俺の様子を伺っているらしい。
「...」
心配している様子は分かったけれど、それでも俺は黙っていた。
「......あの」
そんな沈黙に耐えかねて先に口を開いたのは女だった。