人形の君に心をあげる。
「...私、以前からよくここに遊びに来ていたんです。」
そう話す女の口調は静かで、落ち着いていた。
「...」
何も言わずに、ただ耳を傾けていた。
「新人さんが来るって聞いて、会いに来たのはよかったんですけど...部屋も何も知らなくて......。
仕方ないから、起きてきたら挨拶しようと思って...それで...
今まで遊んでいたこの部屋で時間を潰そうと思ったんです。
そしたら...」
そこまで言って女の言葉が途切れる。
「...」
なんとなく言いたいことは分かった。
下ばかり向いていた視線を女に移す。
「...わざとじゃなかったんです。」
俺と目が合うと、再び言葉を探しながら、申し訳なさそうにそう言う。