人形の君に心をあげる。
「...あ、ありがとうございます。」
許してもらえたことにほっとしたのか表情を緩める。
...いや、ありがとうも何も
そんな大事でもないのに変な空気になるのがいたたまれないというか
心の中でそう思ったけど、言わなかった。
「...」
言っても伝わらなさそうだしな...
「...で、どこから―――」
”どこから来たんだ”
そう尋ねようとした俺の言葉に女の声が重なる。
「私、この近くに住んでいるん...」
もうほとんど最後までいい終えたところで口を紡ぐ。
「あっ、すみません。」
そして、ワタワタと慌て始める。