人形の君に心をあげる。
「...私、この近くに住んでいるんです。」
女はおずおずと再び話し始める。
「だけど、見ての通り、何もないところで...
話し相手を探しによくここに来ていたんです。ここなら、話し相手になってくれる人がたくさんいるので。」
窓際で話す女の髪が風に揺れる。
女はそれを手で押さえ、まとめながら、耳にかける。
その仕草はしなやかで、品がある。
「...あなたとも、仲良くなれたらいいなと思ったんです。」
そう言って柔らかく笑う。
...もしかして
昨日、庭師が言ったことが頭の中に浮かんでくる。
”この先に、お屋敷が1つあります”
...こいつって、そこの屋敷のやつなのか?