人形の君に心をあげる。
「言葉遣いから教えてやるよ。お前は俺の生徒だからな」
男は冷ややかに言いながら、俺を横目に扉へ向かって歩き出す。
「ま、待てよっ」
遠ざかって行く男の背中に向かって叫ぶ。
「俺は. . .これからどう. . .」
“これからどうなるんだ“、自分でそう言いながら、今になって言い知れない不安が押し寄せてくる。
. . .本当に俺は、この先どうなるんだ
ここには、こんな奴しかいないのかよ. . .
「待ってください、な?」
男は俺の言葉を訂正しながら、足を止めてこちらを振り返る。
大きなため息をつきながら。
「質問ばっかでうるせえなあ、お前は...」
でも、そう言いながら、俺の顔を見て男は言いかけた言葉をつぐんだ。
それは、きっと俺があまりにも不安に満ちた情けない顔をしていたから...