人形の君に心をあげる。



「...仕方ねえから、1つだけ教えてやるよ。」



そう言った次の瞬間、男の雰囲気が変わったのを感じた。



けだるそうな雰囲気から一変し、背筋はピンと伸ばされ、指の先まで力が入っている。


それでいて、どこかしなやかさがある立ち方。



今までに見たことがないほどに、きれいな立ち姿だった。



...まるで、さっきまでとは別人だな



男はそのまま、右のジャケットの襟元に付いているバッジのようなものに左手を添えた。



なにを...?



男のその仕草は、俺にそのバッジを見せているようにも見える。



「”バトラー”だ」



「バトラー?」




「そう。お前は、今日から”バトラー”になるんだ」





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