人形の君に心をあげる。
緩めたネクタイとシャツの隙間から、あいつにつかまれた首元を触ってみる。
あの時の、あいつの他人を傷つけることをいとわない目...
...俺、間違いなく殺されるわ
思い出すだけで、俺の不安を掻き立てる。
ほんとにいねえよな?
もう一度、あたりに誰もいないことを確認する。
「...ビビりすぎだな」
って、ちょっと自分を情けなく思った。
それにしても...
どう考えても、普通じゃないよな
この家も、あいつも。
目の前に広がる庭園を見ながら、そんなことを思う。
「庭も広すぎだろ...」
庭園の全体の大きさは、ここからだと把握しきれないほど。
少し先に大きな針葉樹と草木が垣根のように植えられていて、その先がよく見えないようになっている。