人形の君に心をあげる。



垣根の前に立つと、枝と枝の隙間からほんの少しだけ向こう側が見えるような気がした。


が、無理にその隙間をのぞく必要はないのかもしれない。



垣根の高さは2mくらい。

ジャンプすれば見えそうなほどの高さしかない。



跳んでみよう。

そう思って、痛む足に力を入れたまさにその時だった。




「その向こうには、何もありませんよ」


!?


突然聞こえてきた声に、驚いた。




音もしなかったし、気配も感じなかった。


なのに、いつの間にいたのか、隣には一人の老人が笑顔で立っている。




「...え」


...どこから現れたんだ



老人はにっこりと俺に笑いかける。



「新人さんですね。どうしました?何かありましたか?」



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