人形の君に心をあげる。
その老人は、俺のようにテイルコートを着ていなかった。
それなのに、なぜ俺が新入りだと分かるんだ...
もしかして、
「あんたも”バトラー”なのか?」
老人の目を食い入るように見つめる。
「...」
老人は俺の言葉に少しだけ何かを考えている風に見えた。
だけど、すぐにおかしそうに笑い始めた。
「私のような老いぼれにバトラーは務まりません。」
そう言って、ゆっくりとしゃがみこむ。
「私は、ただの庭師ですよ。」
老人は話しながら、垣根の手前に咲いている花に手を伸ばす。
花をいじるその手つきは手慣れたものだった。
「あなたは、どうかなさったのですか?」