人形の君に心をあげる。
老人はもう一度俺に問いかける。
優しい笑顔を浮かべながら。
...このじいさんなら、何か教えてくれるかもしれない
俺は老人の隣に並んでしゃがみこんだ。
真っ直ぐに庭師を見て言う。
「庭師のじいさん、聞きたいことがあるんだ。教えてくれるか?」
庭師は、花のまわりに肥料をかけていた手を止めて、俺に視線を合わせる。
そして、
「ええ、もちろん。私に分かることでしたら。」
そう微笑んだ。
「ありがとう。手伝うよ」
俺は庭師から花の苗を受け取り、作業を手伝いながら、事のいきさつを全て話した。
「実は――――」
俺が話す間、庭師はずっと黙って俺の話を聞いていた。