人形の君に心をあげる。



老人はもう一度俺に問いかける。


優しい笑顔を浮かべながら。




...このじいさんなら、何か教えてくれるかもしれない


俺は老人の隣に並んでしゃがみこんだ。


真っ直ぐに庭師を見て言う。



「庭師のじいさん、聞きたいことがあるんだ。教えてくれるか?」




庭師は、花のまわりに肥料をかけていた手を止めて、俺に視線を合わせる。



そして、

「ええ、もちろん。私に分かることでしたら。」


そう微笑んだ。




「ありがとう。手伝うよ」


俺は庭師から花の苗を受け取り、作業を手伝いながら、事のいきさつを全て話した。




「実は――――」






俺が話す間、庭師はずっと黙って俺の話を聞いていた。





< 56 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop